未来を耕す、農とお金のはなし

― 小さな畑と、家族と、未来のための経済の知恵 ―

食料品消費税ゼロで農家は本当に損をするのか?現場感覚から冷静に考える

報道等は「農家が損をする」と言いがちだが… 「食料品の消費税ゼロ」が議論されるたびに、 農家の負担が増える 農家に不利な政策だ 現場を分かっていない といった論調で、政策批判がなされがちです。 しかし、実際の農家経営の感覚から見ると、本当にそこま…

そもそも農業とは何か? — 日本農業の原点をたどると、弥生時代の稲作に行き着く?

■ 農業とは「自然とともに暮らしを支える営み」 農業とは、自然(気候・土・水)を利用して植物や家畜を育て、人間の暮らしに必要な食料や素材を作り出す営みのことです。 単に“食べ物を作る仕事”ではなく、私たちの生活そのものを支える社会インフラとも言…

コメ集荷業者が突然連絡不能──その時、受け皿になったのはJAだった

近年、民間のコメ集荷業者の参入が増えています。買い取り価格が高かったり、取引がスピーディーだったりと、農家にとってメリットは確かにあります。しかし、令和7年11月21日の農業新聞に掲載された例は、その裏側にある「危うさ」をよく示していました。 …

早生・中生・晩生ってそもそも何?

野菜やお米、果樹などを調べていると、「早生(わせ)」「中生(なかて)」「晩生(おくて)」という言葉をよく目にします。 ざっくり言うと、 早生:播種(定植)から収穫までの期間が短い品種 中生:その作物の中で「標準的な」収穫時期の品種 晩生:じっ…

【初心者農家必見】直売所における「売ること」と「信頼を築くこと」

直売所は、農家にとって野菜を販売する大切な場所のひとつです。新鮮な野菜を直接消費者に届けられるという点で、非常に魅力的な仕組みです。 しかし、残念ながら「売ること」そのものが目的になってしまっているケースも見受けられます。たとえば、多少の傷…

🚜 農家にとって「軽トラ」は、なくてはならない存在。

農業を始めるうえで、トラクターや草刈機よりも、まず最初に手に入れるべきもの。それが、**軽トラック(軽トラ)**です。大げさではなく、軽トラがないと農業は始まらない――そう言っても過言ではありません。 1. 小回りがきく。それが最大の武器 農地は狭い…

「百姓」とは?──農家だけではない、“百の仕事”をこなした人々の生き方

はじめに 「百姓」という言葉を聞くと、多くの人は“農家”を思い浮かべるでしょう。しかし、もともとの「百姓」は、もっと広く、もっと深い意味を持っていました。その語源をたどると、現代の私たちにも通じる“自立した生き方”のヒントが見えてきます。 「…

【就農したい人必読!】Iターン農家が失敗しないための3つの心得

地方での就農を考えている人にとって、畑を持つことよりも大切なのが、人とのつながりです。特に、Uターン(地元出身)と違い、Iターン就農者はゼロからのスタート。「祖父の遺した畑だから、地元の人が助けてくれるだろう」──そう考えるのは危険です。 むし…

かつては当たり前だった「自給」。今では贅沢?

昔の日本では、どこの家庭でも野菜を育てていました。畑がなくても、庭の片隅や軒下に小さな畝を作り、季節ごとに大根やナス、きゅうりを収穫していたのです。 今ほど豊かではなくても、「食べるものは自分でつくる」という安心感がありました。それがいつの…

フカフカした土の正体:それは「団粒構造」が生きている証拠

畑を見ていると、「この土、フカフカしてるな」と感じる瞬間があります。それは単に柔らかいというだけでなく、**植物がよく育つ“良い土”**であるサインです。その秘密は、「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」という土の仕組みにあります。 ■ 「団粒構造」と…

落ち葉堆肥:古代から続くサステナブルな知恵

秋になると舞い落ちる落ち葉。実はこれ、昔から農家にとって“宝”でした。化学肥料がない時代、人々は自然の循環を上手に利用して、落ち葉を堆肥として活かしていたのです。 ■ 古くからの知恵とサステナブルな発想 日本では江戸時代より前から、山や林の落ち…

草刈りは「めんどう」から学ぶ、農作業の本質

草刈り。正直、めんどうです。暑い時期は特に、刈っても刈ってもすぐに伸びます。近年では温暖化の影響もあって、雑草の成長スピードが以前より確実に早くなっている気がします。 伸びてからでは、手遅れになる 草というのは、一度成長しきってからでは太く…

農業における厄介な虫と助けになる虫|害虫・益虫トップ3を徹底解説!

厄介な虫トップ3 1. アブラムシ 野菜・果樹・花など、ほとんどの作物に発生する代表的害虫。植物の汁を吸って弱らせ、ウイルス病を媒介することもあります。繁殖力が非常に強く、温暖期には爆発的に増殖します。 2. コナガ アブラナ科(キャベツ・ブロッコリ…

草木灰の歴史と効能:大地が教えてくれる自然の肥料

草木灰(そうもくばい)は、古代から人々が畑や田んぼに使ってきた最も原始的でありながら理にかなった肥料です。化学肥料が登場するはるか以前、農家は燃やした草木の灰を田畑にまき、土の力を取り戻してきました。 ■ 古代から続く知恵 弥生時代の遺跡から…

古代の人は動物の糞でリンを与えていた?

〜自然の循環から生まれた肥料の知恵〜 リンの起源と古代の知恵 植物の生育に欠かせない三大栄養素のひとつ「リン」。古代の人々は、科学的な知識がなくても、動物の糞を土に混ぜると作物がよく育つことを経験から知っていました。 動物の糞には、リン・窒…

ビジネス化する農業 ―「作る」から「稼ぐ」へ、時代の転換点―

かつての農業は「生活のための仕事」でした。 しかしいま、農業は「ビジネス」として再定義されつつあります。 それは単なる“儲け”の話ではなく、「継続可能な仕組みをどう構築するか」という本質的な問いでもあります。 1. 農業のビジネス化とは何か 農業の…

🌱「急がない農業」がくれる安心──自然のリズムに身をゆだねる暮らし

はじめに:現代の“せわしなさ”と、畑の時間 スマホの通知や仕事の予定に追われる毎日。気づけば、いつも何かを「早く終わらせなきゃ」と焦っていませんか? けれど、畑に出ると不思議なことに、時間の流れが変わります。どれだけ急いでも、芽は早く出てくれ…

【2025年版】米の作付指標が見直しへ:生産調整から“地域の知恵”の時代へ

2025年、全国の米づくりに新しい動きが見え始めています。政府が長年続けてきた「作付指標(さくつけしひょう)」――いわば米づくりの“目安表”が、今年見直しの時期を迎えました。 この記事では、新聞等で話題になった「米の作付指標見直し」をわかりやすく解…

🦴昔の知恵に学ぶ──骨粉が育む、根と花と実の力

■ 古くから伝わる「骨の肥料」 昔の人々は、動物の骨にも「命の栄養」が宿っていると考えていました。狩猟や畜産が行われていた時代、余った骨を焼いて砕き、畑にまくことで土が肥えることを経験的に知っていたのです。 化学肥料がなかった時代、人々は観察…

🇯🇵 戦後の日本農業の歩み ― 総理が代わる今こそ見直したい「食と土地の70年」

️ 1945〜1955年:GHQ改革と「自作農」への転換 戦後、GHQ(連合国軍総司令部)は 農地改革 を実施。 大地主が所有していた農地を国が買い上げ、小作農に安価で売り渡し。 これにより、日本の農家の約9割が「自作農」へ。→ 戦前の封建的な構造を一掃し、「農…

「国消国産」とは?──地元で食べることが、未来の食を守る第一歩。

最近、スーパーで見かける「国消国産」という言葉。実はこれ、「国産品を消費しよう」というだけでなく、**“自分たちが食べるものは、自分たちの国でつくる”**という考え方を表しています。地元で生まれた食を、地元で支える。この循環が、日本の食料自給率…

霜に当たると甘くなる?冬野菜の糖度が上がる理由と収穫のコツ

「霜に当たると甘くなる」——冬野菜に関してよく聞く言葉ですが、なぜそうなるのでしょうか?実はこれは、野菜が**寒さから身を守るために行う“防御反応”**なんです。 【1. 霜が当たると何が起こる?】 朝晩の冷え込みで霜が降りると、野菜の体内では凍結防止…

排水は「見えない病害対策」──根を守る農地づくりの基本と具体的手法

■ はじめに:水が多いほど良い、は間違い 畑や水田で「水を切らさないように」という意識は大切ですが、過剰な水分は根の呼吸を奪い、病害の温床になります。特に近年は集中豪雨が増え、排水不良による根腐れ・立枯病・フザリウム病の発生リスクが高まってい…

野菜の価格はなぜ上がったり下がったりするのか?――5年単位で考える視点

野菜の価格は、天候や季節の影響を強く受けます。たとえば長雨や猛暑で生育が悪くなれば、出荷量が減って価格は上がります。逆に、天候が安定して豊作になると、供給が増えて価格は下がります。 市場の原理は単純です。供給が増えれば価格は下がり、減れば上…

【初めての草刈り完全ガイド】地域の奉仕作業で恥をかかない!草刈機の基本操作・コツ・安全ポイント

はじめに:初めての草刈り、緊張しますよね 休日の地域奉仕で「今度は草刈りをお願いします」と言われると、少しドキッとしますよね。草刈機は便利ですが、正しい使い方を知らないと危険です。この記事では、初めてでも迷惑をかけず、安全に作業できるよう…

あなたのコメは「3等」!?――誤解されがちな等級制度の真実

「3等ですね。」 最近では6月もすでに暑くなってきています。そんな中、田植えを行い、畦の草刈りも例年回数が多くなってないか!? と思いつつなんとか10月になり、まだまだ暑い日が続くなか、刈りとった大切なコメ。 暑い中汗だくになりながら、JAに持ち…

緑肥(りょくひ)の力で土を育てる:化学肥料に頼らないサステナブルな農業へ

近年、地球環境への配慮やSDGs(持続可能な開発目標)の広がりとともに、「緑肥(りょくひ)」が改めて注目されています。緑肥とは、畑に作物を育ててからそのまま土にすき込み、肥料や有機物として活用する植物のことです。代表的なものに、ヘアリーベッチ…

農作業事故の実態と予防策|年間236人が犠牲に

【注意喚起】農作業事故の実態と予防策:年間236人、主因は機械の転倒と熱中症 日本の農業現場では、毎日「ヒヤリ・ハット」が起きています。令和5年(2023年)の 農作業中の死亡者は236人。うち62%が農業機械作業、機械・施設以外では 熱中症が最多でした…

SDGsに貢献?ひこばえ(再生二期作)とは?メリット・栽培ポイント

地球温暖化の進行や人手不足が深刻化するなか、「一度の田植えで二度収穫できる」として注目を集めているのが、ひこばえ(再生二期作)です。この農法は、省力化だけでなく、SDGs(持続可能な開発目標)にも貢献する新しい稲作スタイルとして研究が進められ…

水稲カメムシ被害、全国で33億円規模に ― イノシシに次ぐ大きさ【2023年産推計】

2023年産の水稲では、「カメムシ類」による被害が全国で33億円規模に達したと農水省が発表しました。被害額はシカ(70億円)、イノシシ(36億円)に次ぎ、鳥獣害の中でも大きな割合を占めています。 特に水稲カメムシは登熟期の稲穂を吸汁し、**斑点米(品質…