地域農業・暮らしのリアル
地方での就農を考えている人にとって、畑を持つことよりも大切なのが、人とのつながりです。特に、Uターン(地元出身)と違い、Iターン就農者はゼロからのスタート。「祖父の遺した畑だから、地元の人が助けてくれるだろう」──そう考えるのは危険です。 むし…
秋になると舞い落ちる落ち葉。実はこれ、昔から農家にとって“宝”でした。化学肥料がない時代、人々は自然の循環を上手に利用して、落ち葉を堆肥として活かしていたのです。 ■ 古くからの知恵とサステナブルな発想 日本では江戸時代より前から、山や林の落ち…
かつての農業は「生活のための仕事」でした。 しかしいま、農業は「ビジネス」として再定義されつつあります。 それは単なる“儲け”の話ではなく、「継続可能な仕組みをどう構築するか」という本質的な問いでもあります。 1. 農業のビジネス化とは何か 農業の…
2025年、全国の米づくりに新しい動きが見え始めています。政府が長年続けてきた「作付指標(さくつけしひょう)」――いわば米づくりの“目安表”が、今年見直しの時期を迎えました。 この記事では、新聞等で話題になった「米の作付指標見直し」をわかりやすく解…
■ 古くから伝わる「骨の肥料」 昔の人々は、動物の骨にも「命の栄養」が宿っていると考えていました。狩猟や畜産が行われていた時代、余った骨を焼いて砕き、畑にまくことで土が肥えることを経験的に知っていたのです。 化学肥料がなかった時代、人々は観察…
最近、スーパーで見かける「国消国産」という言葉。実はこれ、「国産品を消費しよう」というだけでなく、**“自分たちが食べるものは、自分たちの国でつくる”**という考え方を表しています。地元で生まれた食を、地元で支える。この循環が、日本の食料自給率…
野菜の価格は、天候や季節の影響を強く受けます。たとえば長雨や猛暑で生育が悪くなれば、出荷量が減って価格は上がります。逆に、天候が安定して豊作になると、供給が増えて価格は下がります。 市場の原理は単純です。供給が増えれば価格は下がり、減れば上…
はじめに:初めての草刈り、緊張しますよね 休日の地域奉仕で「今度は草刈りをお願いします」と言われると、少しドキッとしますよね。草刈機は便利ですが、正しい使い方を知らないと危険です。この記事では、初めてでも迷惑をかけず、安全に作業できるよう…
「3等ですね。」 最近では6月もすでに暑くなってきています。そんな中、田植えを行い、畦の草刈りも例年回数が多くなってないか!? と思いつつなんとか10月になり、まだまだ暑い日が続くなか、刈りとった大切なコメ。 暑い中汗だくになりながら、JAに持ち…
近年、地球環境への配慮やSDGs(持続可能な開発目標)の広がりとともに、「緑肥(りょくひ)」が改めて注目されています。緑肥とは、畑に作物を育ててからそのまま土にすき込み、肥料や有機物として活用する植物のことです。代表的なものに、ヘアリーベッチ…
地球温暖化の進行や人手不足が深刻化するなか、「一度の田植えで二度収穫できる」として注目を集めているのが、ひこばえ(再生二期作)です。この農法は、省力化だけでなく、SDGs(持続可能な開発目標)にも貢献する新しい稲作スタイルとして研究が進められ…
2023年産の水稲では、「カメムシ類」による被害が全国で33億円規模に達したと農水省が発表しました。被害額はシカ(70億円)、イノシシ(36億円)に次ぎ、鳥獣害の中でも大きな割合を占めています。 特に水稲カメムシは登熟期の稲穂を吸汁し、**斑点米(品質…
はじめに 2025年、農林水産省は「有機酒類」の輸出入を可能にする制度改正を発表しました。これまで制度上の制約により、海外市場へ有機日本酒や有機ワインを輸出することが難しかったのですが、今回の改正によって新たな道が開かれました。本記事では、この…
はじめに 農業は、一人の農家や一世代だけの営みではありません。地域全体で築き上げ、先人から受け継ぎ、未来へ渡していく大きな流れです。短期的な利益を追うだけでは、この流れは途切れてしまいます。「今だけ・金だけ・自分だけ」の発想ではなく、地域と…
秋のお彼岸の時期になると、田んぼの畔(あぜ)に真っ赤な彼岸花が並んで咲く風景をよく見かけます。なぜ畔に限って彼岸花が咲くのか、不思議に思ったことはありませんか?実はこれ、自然現象だけではなく、昔からの農村の知恵が大きく関係しているのです。 …
私たちが毎日食べている野菜やお米。その多くは「化学肥料」に支えられています。しかし実は、その原料の多くは海外からの輸入に頼っていることをご存じでしょうか。近年の価格高騰や供給リスクを背景に、有機農業の価値が改めて注目されています。本記事で…
有機栽培が注目される背景 近年、世界的に注目を集めているのが**有機栽培(オーガニック栽培)です。 欧米ではすでに日本以上に普及が進み、健康志向の高まりやSDGs(持続可能な開発目標)**に関連する団体の活動によって、日本でも需要が拡大しています。 …
「ブロッコリーは指定野菜?特定野菜?」──実は多くの人が間違えやすいポイントです。 国には 野菜の価格や流通を安定させるための制度=指定野菜制度 があり、そこには「指定野菜」と「特定野菜」という2つの枠があります。 本記事では、制度の仕組みと両者…
はじめに 「サツマイモ畑に雑草が生えてしまった…。全部抜いた方がいいの?」 家庭菜園でよく聞かれる悩みです。 実はサツマイモは雑草に比較的強い野菜で、必ずしも“雑草ゼロ”にする必要はありません。 この記事では、サツマイモと雑草の関係を整理し、効率…
農林水産省の予算(農水予算)は、ここ数十年で大きな変化をたどってきました。 ピークは1982年度の3兆7010億円。その後は減少し、現在(2025年度当初予算)は2兆7706億円となっています。 一見すると安定しているように見えますが、実は大きな課題がありま…
はじめに 日本の稲作といえば、多くの人が思い浮かべるのは「苗を田植えする光景」でしょう。現在の主流は移植栽培(育苗箱で育てた苗を水田に移す方法)ですが、その裏には長い技術革新の歴史があります。 そして今、新しい挑戦として注目されているのが「…
子どもの健康と学びを支える「食育」は、家庭や学校だけでなく、自治体や行政機関の工夫によって加速しています。本記事では、2025年夏時点で注目すべき最新の実践事例を3つに絞って紹介。読み終えた瞬間から家庭や教育現場で活かせるヒントも整理しました。…
【徹底比較】農薬不使用と有機(オーガニック)の違い|家庭で選ぶポイント 更新日:2025-08-20|カテゴリ:食と農 スーパーや直売所で見かける「農薬不使用」と「有機(オーガニック)」。どちらも体に良さそうですが、実は意味も根拠も異なります。この記…
「最近スーパーの野菜が高い!」 そう感じたことはありませんか? 実はこの“値上がり”、単なる天候不順だけが原因ではありません。農家として現場にいるからこそ見える、野菜の価格の裏側をお伝えします。 1. 天候不順による収量減 野菜は自然に大きく左右…
「家族には毎日、健康にいい野菜を食べさせたい。でも忙しいとつい惣菜や冷凍食品に頼ってしまう…」 そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。 実は、特別な有機野菜や高級食材を選ばなくても、スーパーで手軽に買える定番野菜で十分に健康を守…
2025年、私たち日本人にとって当たり前だった「毎日のお米」が、突然“高嶺の花”になりました。 前年と比べて価格はほぼ2倍。スーパーでは売り切れが相次ぎ、ネット通販でも在庫は瞬時に消え、ついには「米難民」という言葉まで聞かれる事態に。 1. 何が起き…
正しい順番と準備を踏めば、“大きく成功”までいかなくても、少なくとも失敗は避けられる。はじめの一歩から具体策までを整理しました。
※この記事には一部、商品・サービスのPRを含みます。 「薪を背負って本を読む少年」――二宮金次郎。彼の報徳思想は、いま世界がめざすSDGs(持続可能な開発目標)と驚くほど重なります。本記事では、金次郎とSDGsの親和性、現代の実践例、私たちが明日からで…
米価が上がると、SNSやコメント欄で「JA(農業協同組合)が米を溜め込んでいる」「農家に還元しろ」といった批判が出てきます。しかし、現場の実態と法制度、そして米の流通工程を踏まえると、これらの主張は多くが的外れです。本記事では、職業柄JAと米流通…