
近年、地球環境への配慮やSDGs(持続可能な開発目標)の広がりとともに、「緑肥(りょくひ)」が改めて注目されています。緑肥とは、畑に作物を育ててからそのまま土にすき込み、肥料や有機物として活用する植物のことです。代表的なものに、ヘアリーベッチ・クローバー・レンゲ・ソルゴーなどがあります。
🌱 緑肥の主な効果
- 土壌の有機質を増やす:すき込まれた植物が分解され、土に有機物を補給。団粒構造ができて、水はけ・水もちが良くなります。
- 化学肥料の使用量を減らせる:マメ科の緑肥は根粒菌の働きで空気中の窒素を固定し、肥料成分として土に蓄えます。
- 雑草抑制・病害虫の予防:緑肥が地表を覆うことで雑草の発芽を防ぎ、連作障害の軽減にもつながります。
- 二酸化炭素(CO₂)の固定:植物が光合成でCO₂を吸収し、土中に炭素として固定することで温室効果ガスの削減にも貢献します。
🌏 SDGsとつながる「緑肥農業」

緑肥の活用は、SDGsの複数の目標に貢献します。
- 目標2:「飢餓をゼロに」― 土を豊かにし、持続可能な食料生産を支える
- 目標12:「つくる責任 つかう責任」― 化学肥料や農薬を減らし、循環型の生産を推進
- 目標13:「気候変動に具体的な対策を」― 土壌への炭素固定を通じてCO₂排出を抑制
- 目標15:「陸の豊かさも守ろう」― 土壌生物の多様性を守り、生態系を回復
🌾 地域で広がる実践例
全国各地で、緑肥を活用した「化学肥料ゼロの土づくり」が進んでいます。たとえば、レンゲやヘアリーベッチを冬期に栽培し、春にすき込むことで、次の作物に必要な養分を自然の力でまかなう取り組みです。
🪴 まとめ
緑肥は単なる「肥料の代わり」ではなく、地球環境を守りながら生産性を高める循環の鍵です。化学肥料に依存しない農業を進める上で、緑肥の導入は小さくても確実な一歩となるでしょう。