
「3等ですね。」
最近では6月もすでに暑くなってきています。そんな中、田植えを行い、畦の草刈りも例年回数が多くなってないか!?
と思いつつなんとか10月になり、まだまだ暑い日が続くなか、刈りとった大切なコメ。
暑い中汗だくになりながら、JAに持ち込んだ30キロ袋。
「あなたのコメは3等です」
JA検査員に言われると、つい「品質が悪いのかな」と感じてしまいますよね。
実は、それは少し誤解があります。3等米=低品質なコメではないのです。
◆ 農産物検査とは?
コメの「等級」は、国が定める農産物検査法に基づく制度で、
主に流通時に買い手(卸業者・業者)が安心して取引できるように設けられています。
検査では、「味」ではなく、外観・形質・整粒割合などの“見た目”で判断されます。
つまり、等級=味の良し悪しではなく、精米したときの歩留まり(ロス率)の目安なのです。
◆ 等級の基準(整粒割合)
農産物検査では、欠粒や割れ粒の少なさを示す「整粒割合」によって、次のように等級が分けられます。
- 1等:整粒割合 70%以上
- 2等:整粒割合 55%以上
- 3等:整粒割合 45%以上
この数値は、外観上のきれいな粒の割合を示すものであり、食味とは直接関係しません。
◆ 歩留まり(精米歩留率)の違い
玄米を白米に精米すると、欠けた粒や胴割れ粒は除かれるため、等級が低いほど白米の取れる量が少なくなります。
これが「歩留まり」の差として表れます。
| 区分 | 歩留まり |
|---|---|
| 1等米 | 約92% |
| 2等米 | 約89% |
| 3等米 | 約85% |
たとえば、玄米100kgを精米すると、
- 1等米 → 約92kgの白米
- 3等米 → 約85kgの白米
その差はおよそ7kg(約7%)。
同じ1000kgを精米した場合、白米の量に70kg近い差が出ることになります。
この“ロス”が、卸業者にとってのコスト差になるため、取引価格にも反映されるのです。
◆ 「3等米=まずい米」ではない理由
ここで強調したいのは、3等米は「味が悪い」わけではないということです。
検査で見られるのは外観や粒の状態であり、香り・粘り・うま味といった食味は評価対象外です。
そのため、3等米の中にも、炊けば普通においしいです。
また、出荷時に調整や選別を行うことで、粒のそろった良質な状態に整えることも可能です。
つまり、「3等」とラベルがあっても、味や安全性が劣るという意味ではありません。
◆ 等級制度の背景にある「信頼」
農産物検査は、生産者と流通業者の双方が安心して取引できるように設けられた制度です。
「この玄米を精米したらどのくらいの白米がとれるか?」という指標を共有することで、
取引価格を公正に保ち、流通を円滑にしています。
令和6年産米では、全国の検査結果で1等米は約75.9%、3等米は約3.5%でした(出典:農業協同組合新聞)。
気象条件による品質変動もありますが、ほとんどのコメが1~2等の範囲内に収まっています。
◆ まとめ:見た目より“中身”を見よう
3等米と聞くと「悪い米」と思われがちですが、実際には歩留まりの差を示す制度上の分類です。
味そのものとは直接関係がありません。
消費者としては、等級よりも「産地・栽培方法・保存状態」などを重視する方が賢明です。
“3等”と聞いてもがっかりせず、まずは一口食べてみてください。
そこには、生産者の努力と自然の恵みがしっかり詰まっています。
参考:
農林水産省「農産物検査制度について」
JA全農・SmartAgri「米の等級と検査制度」
神明グループ「等級と味の関係」
クックパッドニュース、ITmediaビジネス、JACOM農業協同組合新聞
👉「旬の野菜や家庭菜園の裏話はXで更新中 → @https://x.com/sakscsidea」